X線検査
放射線検査
放射線の利用は診断や治療において必要不可欠です。放射線を使用する検査は、病気の発見や治療に必要な場合のみ実施されます。放射線検査室内に入っただけで被曝すると誤解されている場合もありますが、検査が始まるまでは放射線を照射していないので、入室しているだけでは被曝することはありません。検査で患者様に放射線を照射する際は、身体全体でなく、必要とする部位にしか照射していません。医療行為における放射線の量で、人体に「がん」を引き起こすほどの影響を及ぼす事はほとんどありません。症状があって受診された方には原因の究明と治療方法の確認という利益があり、健康診断においては病変の早期発見や安心を得るという利益があります。放射線に対する、過度な不安を払拭することが望まれます。必要以上の被曝が起きないよう努めていますので、ご安心下さい。
検査の注意事項
撮影範囲内に異物があると、写真に写ってしまい診断の妨げになりますので、撮影前に更衣室または撮影室内にて外して頂きます。
撮影時の体の動きや、呼吸による動きはX線写真のブレの原因になります。検査時に、技師が呼吸や体位を指示致します。
また、体位によっては技師が患者様の体に触れることがあります。その際には必ず説明を致しますのでご協力お願いします。
ご不明な点がございましたら、担当技師、職員に遠慮なくご相談下さい。
X線単純撮影
X線単純撮影とは、胸部や腹部、そして骨や臓器などのX線撮影のことを総称したものです。
簡便で、画像提供も迅速にできる為、検査の中では最も頻度の高い検査といえます。
よく言われる、『レントゲン撮影』『レントゲン写真』と同じです。レントゲンとはX線を発見したレントゲン博士にちなんだ名前です。
X線は骨、水、脂肪、空気といった人体の様々な構成組織を透過します。
その透過の割合は人体を構成する組織や臓器によって異なるため、写真上に白黒の濃淡がつきます。
病気があると濃淡の具合が変化するので写真に変化が現れます。
胸部撮影
X線検査の中で最も簡便な検査ですが、肺や心臓、肺と肺の間にある縦隔などの病変について様々な情報を得ることのできる検査です。
この検査では呼吸や身体の動きが写真に影響するのを防ぐ為、また肺野を出来るだけ広く描出する為に吸気で撮影します。
撮影時に技師から『息を吸って、止めてください』と合図があります。
腹部撮影
腸管ガスの分布状態や腹水の有無、結石等の診断をします。
胸部撮影と同様に呼吸や身体の動きにより写真のブレの原因となることがありますので、担当技師の指示に従って頂きますようご協力お願いします。
骨・軟部撮影
この検査では、骨、関節の状態を見る検査です。骨折、骨変形、脱臼などの形状を調べるために、様々な方向から撮影します。
その際に体の向きや姿勢を変えて頂くことがあります。
骨密度検査(骨粗鬆検査)
私たちの骨は一定のサイクルで、骨形成(新しい骨を作る)と骨吸収(古い骨を溶かす)を繰り返しています。骨吸収と骨形成のバランスが崩れて、骨基質が少なくなった状態を骨粗鬆症といいます。骨基質は、カルシウム塩を主とするミネラル成分です。一定の容積あたりの骨の中のミネラルの量を骨密度と呼びます。骨密度が、成人平均値の70%未満なら骨粗鬆症と診断されます。骨粗鬆症は自覚症状がなく、検査をして初めて発見されます。 当院には、DXA法を用いた橈骨測定装置があります。DXA法とは、2種類のX線を骨に照射して、骨とその他の組織との吸収差で骨密度を計算します。橈骨測定装置は椅子に座ってどちらかの前腕を出すだけの簡単な検査です。測定時間は15秒程度と短時間ですし、測定に用いるX線はごく微量なので、身体に影響はありません。
(上)正常な骨
(下)骨粗鬆症の骨
橈骨測定装置
骨密度検査に該当する方は下記の方です
- 閉経後の女性
- 65歳以上の男性
- 50歳以降に骨折された方
- ステロイド内服薬使用の方
- 骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方
骨粗鬆症の原因には、加齢の他に、運動不足、日光浴不足、偏食、飲酒、喫煙などがあります。決して、高齢者だけの病気ではありません。
当院では、健康診断でもオプションで検査が受けられますので、遠慮なくご相談下さい。
消化管造影検査
消化管造影検査とは、造影剤を用いて食道、胃、十二指腸、小腸、大腸をX線撮影する検査です。
当院では胃を見る検査として胃部X線検査(バリウムを飲む検査)を行っています。
胃部X線検査(バリウムを飲む検査)検査時間5分程度
検査の流れとしては、発泡剤で胃を膨らませた後、バリウムを飲み、体位変換し、胃壁に十分にバリウムが付いた状態で、胃を多方向から撮影する検査です。
この検査は、胃壁に付いたバリウムの鋳型を見る検査で、胃の病変の場所や大きさ、胃の全体像を把握できる上、胃以外の病変(十二指腸憩室や胆石)も発見できます。
検査終了後は、下剤を服用して水分補給を充分にしてもらいます。バリウムは、消化管に吸収されないので、体内に溜まらないように下剤で排出しなければなりません。